宇宙の産み落とした私生児

とよかわの西洋占星術について考えるブログ。鑑定依頼は件名「鑑定依頼」でこちらへ→astrotoyokawa@gmail.com

【勉強】Horary Astrology: The Practical Way to Learn Your Fate(Petros Eleftheriadis)を読んでいます

 またまた、お久しぶりです。もうすぐ上半期も終わるというのに、2022年最初の記事となってしまいました。

 今回はホラリー占星術の実占例集である「Horary Astrology: The Practical Way to Learn Your Fate」です。実際に依頼のあった内容、チャート、リーディング、その結果が豊富に収録されており、まだ最後まで読んでいませんが実占をやるにはかなり役に立つと思います。

 占術理論に関しては冒頭に少しだけ紹介されるのみですが、「悪いレセプションは存在しない(考慮しない)、レセプションは全て吉兆」「レッサー・ディグニティでも、ディグニティが無いより遥かに良い」といった、私が今まで学んできたことと違う独特? の理論が語られ、その情報の出所を確認したく思いました。

 占術は誰もがまず理論を学んだあと実際にチャートを立ててリーディングしていくものですが、100%が吉兆、あるいは凶兆というチャートはめったになく、多くが両方いりまじるもので、占星術師は情報をまとめたうえで総合的に吟味し、結論を出す必要があります。その総合的判断というのがかなり難しく、経験やセンスを最も必要とするパートでしょう。
 たとえばチャートが全体的におおむね吉兆をあらわしても、指示星にドンピシャリでドラゴンテイルが重なっていたら、かなり不吉ととるべきでしょう。でも、そこまでハッキリとしたチャートでない場合は、結論を出すのに迷いが生じるものです。この本は、吉兆凶兆の材料から最終的に判断を組み立てるプロセスまで紹介しているので、非常に実践的です。

 また、この著者の特徴的な占いかたとしては、共同指示星をかなり重視します。たとえば自分の指示星なら、1ハウスロードのみならず、1ハウス内の惑星、さらにアルムーテン・ロードも計算で割り出し、判断材料に使います。

 質問のひとつ「友人はお金を払ってくれますか?」を例にあげて紹介します。
 チャートは以下の通りです。

 クァレント(質問者)は友達をクライアントとして、ある仕事をしてあげたようです。しかし報酬がいつまでたっても支払われません。たんに忘れているだけでないかと信じはしたいもの… 実際どうなのか? それが質問の内容です。
 著者のリーディングは以下のとおりです。

 クァレント…1ハウス、水星(1ハウスロード及びアルムーテン)木星(1ハウス内の惑星)、月(サブルーラー)

 クァレントのお金…2ハウス、金星(2ハウスロード)、土星( 2ハウスアルムーテン)、木星(財産のナチュラルルーラー)、パートオブフォーチュン

 友人…11ハウス、月(11ハウスロード及びアルムーテン)

 友人のお金…12ハウス、太陽(12ハウスロード及びアルムーテン)

 吉兆…
 1ハウスロードの水星と財産のナチュラルルーラーの木星が、アプライのトラインでかつレセプションあり。水星はコンバストでもアンダーザサンビームでもなく、速度をあげながら金星とコンジャクションしようとしており、セクトも良い。水星はまた、ディグニティを得た火星とミューチュアルレセプションでもある。木星も、アセンダント及びドラゴンヘッドとコンジャクション。
月と木星の間に強いミューチュアルレセプション。月はジョイとなる3ハウスにおり、パートオブフォーチュンとコンジャクション。太陽(友人のお金)は土星(クァレントのお金)とアプライでセクスタイルで強いレセプションあいり。月は太陽にアプライでセクスタイル、しかし弱いレセプションを伴った土星とのコンジャクションが最初に起きる。
土星は不吉だが、アングルにおり、金星とミューチュアルレセプションかつ太陽とシングルレセプション。金星は火星とアプライのセクスタイルで、イグザルテーションで彼をレシーブしている。

 凶兆…
 木星はデトリメントで逆行しており、土星とスクエアで、かつレシーブしている。太陽もデトリメントで、かつアセンダントアスペクトしない。月は土星にアフリクトされている( 土星の状態が大変良く、オーブ外でのアスペクトではあるものの)。太陽は火星とスクエア(しかし火星はドミサイルと夜のトリプリシティ及び、太陽のフェイスを得ているので、ここではベネフィック)。

 では結論です。
 著者はこれを大変恵まれたチャートと判断します(だいたいの人がそう思うでしょう)。強い吉兆がたくさん示されており、クァレントがお金を支払ってもらえるのは疑いがないことです。
 ただアプライのアスペクトが多いため、料金が支払われる時期について著者は強い確信をもてません。
 月と太陽セクスタイル、および月と土星のコンジャクションはどちらもあと13度。
 水星と金星のトラインはあと4度。
 太陽と土星セクスタイルはあと1度1。
 金星と木星のトラインはあと9度とちょっと(木星が逆行しているため)。
 クァレントは友人にこの件を口に出して伝えることに決めたようです。総合的に考えて、著者は彼女に、報酬を手にするのは今から1週間前後であろうと伝えました。

 気になる結果です。クァレントが友人にメールでこのことを知らせたのが9日後。すると返信が来て、正直言ってど忘れしてしまっていたが、偶然にも思い出したとたんにこのメールを受け取り、そのシンクロニシティに大変驚いたとのこと。翌朝すぐに振り込むことを約束してくれて、それは実行され、チャートを立ててから9日と半日後にクァレントは報酬を手にしました。
 つまり的中したのは、金星(2ハウスロード)と木星(1ハウス内にいる惑星であり、共同指示星)のトラインであったことになり、共同指示星の重要性を見落としていたら、成就のタイミングをリーディングできなかったことになります。
 よって、このチャートから得られる教訓は、ハウスロード以外の共同指示星やアルムーテンも同じように重要視すべきであるということだと著者は結論づけます。これはそのとおりだと思いました。しかし、どのタイミングを採用するかはそれぞれの惑星の状態の良さや強さなどを加味して取捨選択する必要があるでしょう。

 …などとモタモタ記事を書いているうちに、本書の邦訳が出てしまいました!

 しかし語彙は非常に平易で、中学英語レベルでOKですし、Kindleでは自動翻訳機能もありますから、ふところに相当余裕がある人でない限り、お手ごろな原書をおすすめいたします。
 邦訳はこちらです。
 ↓
 ホラリー占星術 ―運命を学ぶ実践的方法―
https://www.amazon.co.jp/dp/4906724752/ref=cm_sw_r_awdo_DTQK0M0RWQ2Y11A8YA6Y?psc=1

 そんなわけで、時期を逸した感のある紹介記事でしたが、読んでくださりありがとうございます。
 次はできればまたフェミニズム占星術シリーズを書きたいものです。